自ら学ぶ力を(2)

解答、解説を渡さずに数学の問題集を自習させることは、本当に無駄なことです。

生徒の学力別にその理由を考えてみましょう。
基礎力があって、定期テストでも6割、7割以上の点数を取る生徒は、できない問題を理解しながらやることが必要です。
できるだけ詳しい解説が付いている問題集をやることが必要なのです。

もし、解説を見てもよくわからない点があれば、教師に質問するためにその部分にマーカーを引くなどしておけば良いと思います。
たとえ解説のない問題集をやっても、できない問題を理解したり、その問題を解くことができるようになることはありません。
また、すでに理解している問題についても、正解を確認しながら進めることに意味があります。
うっかりミスやそれまで気づかなかった理解不足の部分なども、何回も解答と照らし合わせながらやることで、自分で修正できるようになります。
そうして自らを客観的に見つめ、自分で理解を深めていく力をつけることができるのです。
彼らこそ、ぜひ解説付きの問題をやるべきなのです。

ではそこまでの学力のない生徒はどうでしょう。
定期テストでも平均点あるいはそれ以下の点数しか取れない生徒です。
彼らには解説を見て、それを一人で理解していく力は不足しています。解説付きの問題集を渡せば、丸写しすることもあると思います。
いや、それより他に、その問題集をやり終える方法はないのです。
解説のない問題集を渡しても、そして、たとえなんとか自力でその問題を解いてきたとしても、そこには修正すべき基本的な間違いや理解不足が至る所にあって、それを一つ一つ直して、理解を促すには、その2倍も3倍もの時間と労力が必要となります。
つまり、このレベルの生徒には、解説のない問題集を渡しても意味がないのです。

彼らに必要なのは、ゆっくりとした丁寧な対応です。
2つ3つ問題を解いて、その丸付けをし、正解だったとしても、無駄な計算方法をしていないか、途中式を含めて、正しい書き方ができているか、そういうところを見ていかなくてはいけません。
間違っている場合は、どの部分を間違ったのか、何が原因でその間違いをしたのかを理解できるように伝えなくてはいけません。
大抵の場合、学年をさかのぼって、基本的な理解不足ややり方の誤解を解いていく必要があります。
長年の癖のように、誤ったやり方や考え方が染み付いている場合も多いです。

繰り返しやることもとても大切です。

どれだけ手間がかかろうと、こういった学習をしない限り、彼らが自ら学んで、学力を高めていく正しいスタートを切ることはできません。

どちらにしても、解説解答のない問題集を「根性で」やらせる意味はどこにもないのです。

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